大判例

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名古屋高等裁判所 昭和30年(う)536号 判決

寿、梁の妻及び被告人の三名相会し、梁より金に対し麻薬十二包を一包の代金一万三千円宛、引渡期限翌二十一日午前八時の約旨で売渡したので、二十一日午前七時半頃梁の妻が右履行の為被告人方に来たけれども、金が未だ来なかつた為被告人は梁の妻に対し代金十万円を立替支払い本件麻薬九包(約四六瓦五三九四)を受取り自宅ミシンの下に保管し、之を午前九時半頃金に手交せんとしたところを麻薬官に逮捕されたことを認めることができるから、被告人が麻薬を所持していたことは明らかである。論旨は被告人は金寿の為梁の妻から右麻薬を預かつたものに過ぎないから、麻薬取締法第十二条に規定する「所持」に該当しないというにあるが、いやしくも同条に所謂「所持」は他人の為にする意思を以てする場合と自己の為にする意思を以てする場合とを問わないと解するを相当とするから、被告人が梁の妻に対し代金を立替支払い同人より麻薬を受取り金の為にする意思を以て占有したとしても、同条に規定する「所持」に該当しないということはできないから、原判決に理由のくいちがい又は法令適用の誤なく、論旨は理由がない。

(裁判長判事 柳沢節夫 判事 大友要助 判事 赤間鎮雄)

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